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マニッシュな紬

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マニッシュでない体にはたいへん・・・・ 

 

思いもかけず、存じあげない方の形見をいただきました。

ふだんなら、気がつかずに通り過ぎてしまうひかえめな柄行です。

が、八掛の色に魅かれました。

濃く、深い紫紺。

羽織ってみると、男といって通るくらいストイックなきものです。

薄くたたまれたサイズはあきらかに昔の女物。

着られるかな・・・・・・いや、着こなせるかな。

持ち帰って、急に

お針をされていたという方の残したこの一枚が、とてもとても気になり始めました。

 

一日目。

緋の板絞りの長襦袢をあわせました。

アンティークもので衿がやわらかく、一挙に100年前にタイムスリップした感じ。

およよ。 溝口じゃわいの。

二日目。

衿を解いて、セルの衿芯を差し込んでみました。

こんどは、立ちすぎてなじまない。

つくづく、きものというのは長襦袢、それも衿で決まると思います。

三日目。

しかたがない。

いつもの鈴襦袢の袖を安全ピンでたくしあげました。

差し込み式の芯も引っこ抜き、半衿箱(クッキー缶)をあけて、

こんなジミなのどうするんだと思っていた(自分で買ったのに)藤ねずの刺繍半衿を取り出しました。

そして、何年ぶりになることか。

母から教わった、昔ながらの三河芯をとじつけて着てみたのです。

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夜なので、衿の色はすっかりとんでますが、

うまく寝て、色もしっくりおさまった気がします。

ほんとは白の献上があうのですが、時間がなく西村の半幅で。

 

形見分けのおきものは、仕立て直してが基本、とも思います。

が、そうしたくはなかった。

きものそのものよりも、その方の針の跡に、執着したのです。

解かれて、なくなってしまうのが約束の 針仕事という手わざ。

なんだか、しばらくいっしょに旅がしてみたくなった。

 

裄だけ 一寸出すか、あるいは控えた長襦袢をつくるか。

思案のしどころです。

 

ふと、さみしいと思い込んでいたきものに

つやがさした気がする。

いいよ。

いっしょにいてあげる。 という言伝なのかもしれません。

 

 

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コメント

ご自分で縫われた着物をこんな風に
針仕事の事まで考えて下さる方の
手元に届き、さぞかしお喜びになって
おられる事でしょう。

針仕事は不思議と自分で仕立てたものと
他の方が仕立てたものと、やっぱり癖が
あるんでしょうか。区別がつきますね。

>自分で仕立てたものと
そうですか。
やはり、“手”というものがありますね。

母が、あつらえた色無地をいっこうに着ず、いつも決まったものにばかり手を通すので、なぜか聴いたことがあります。

それは京都で染めてそのまま仕立ててもらったそうですが、教科書どおりの仕立てで着づらいと。
「おまけにふくろに、」と衣紋にかけて裾を見せてくれました。

着やすいとしたのは、祖母(母には姑)が花街ちかくのお針さんに頼んだ綸子。
ふつうの仕立てとまったく違って、それが手に入ってからは、いつもそればかり着てました。
祖母はじぶんで縫いましたから、仕立てに出したのはたぶん上物で、手にあまると思ったんでしょう。
呉服屋の女房でもありましたから、そういうつても持ってたんだと思います。

そんなことや、会ったことのない遠い親戚のことなどが走馬灯のようにめぐり、なんだかとってもなつかしく思ったんです。

きのう、20分で着付けておおあわてで飛んでいったら、五十鈴さんがいっしゅん、「ま」という表情をして、そのあと、サイズ違いに気づき、あちこち問題の箇所を大目に見れば、
「なんかスマートに見えるね」、っていってくれました。
そうなんです。
それが、違いなんです。

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