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クロは魔物よ

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クビクロって言って反応する人、いまどれくらいいますかねー。

 

築地明石町って、羽織かと思いきやコート、

それも飛び柄のはいった道行だったんですねぇ。

思い込みというのはおそろしい・・・

羽二重は、女ものではほぼ絶滅状態ですが、きらいじゃありません。

するりとかけて気どってみたいものと夢想しますが、

さすがに わざわざあつらえるほどの酔狂じゃありません。

が。

あれほどの国民的ブームもさめて、だれも見向きもしなくなったところで ふと黒羽織が着てみたくなりました。

羽二重はあきらめるにしても、黒というのはアブナイ色です。

セーターだって、おなじラインナップでは黒だけみすぼらしく見える。

ましてや、この国では 古くからようかん色という、

黒にして黒にあらざる色への呼称すらましまする。

頭痛にならない黒の染め、みつくろっていたら

手頃な値段で、車輪梅とうたった羽尺がありました。

届いたのは、木の葉模様の寿光織、ちょっと嵩のあるちりめんです。

どうしよう。

鈴紋つけて、うらに猫でもなんて思ってるうち またたくまに日は過ぎて・・・・

羽裏がなければ、仕立てにゃ出せない。

でも、ありきたりはつけなくない。

モンモンとするうち、さきごろ、源氏香の羽裏を入手できました。

ぱちっ☆

一晩たって ひらめきました。

源氏香の縫い紋にしよう!

昔の人も伊達につけた、おあそびのバトンです。

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帖は、たとえば弔事用に「幻」を持ってくるというのも考えましたが、

いやいや不吉!と 縁起を担ぐ旧い人間ゆえに、却下。

同様、「若菜」がいくらすばらしくても、ダメ。

朧月夜の「花宴」、夕顔の「夕顔」、Podcastの旧題にしていた「蛍」もいまいち・・・・とつぶしてきて最終的に「澪標」を。

 数ならで難波の事もかひなきになどみをつくし思ひそめけむ

明石の方の歌ですが、(ちなみに、ちょいまえの注釈では、明石の上と印刷されてました。いまは、明石の君に格下げになってます)

身のほど知らずに源氏を読むわたしにぴったりの心境だわ。

今朝、さらっと読み返してみましたが、ここはなかなかに動きのある帖です。

源氏は須磨から帰り、政権の座につきます。

右大臣はすでに亡く、引退した左大臣はじめ、左大臣派の人々が返り咲く。

帝の信頼は厚く、宿敵弘徽殿をも丁重に扱えるほどの余裕ぶりです。

が、ほかならぬこのときから、水ももらさぬ仲であった頭中将と距離がうまれる・・・・・

ふたりはもはや、一人前の男となり、テリトリーを争う立場となる。

 

朱雀という人もフクザツな男で、弟コンプレックスというか、朧月夜に妬きはするんだけどそれが決定的なジェラシーにはいたらずに、なんかこう、共有という関係に安住してるフシがある。

そのねじれた感覚が、後年の女三宮降嫁へとつながっていくと思われるのだけど、

ふつうの父親だったら考えないでしょ、そんなの。

 

そして、この巻は、六條が死(みまか)る帖でもあります。

 

源氏物語は、紫のゆかりのものがたりというのが通説ですが、

それは桐壺に似た藤壺、つまり亡き母の投影する宮の血筋である紫、そして女三宮へつづくものがたりということですね。

源氏の血をひく匂宮でなく、血のつながっていない薫に重点が移っていくのも、そう考えればうなずけます。

そして、夕顔とか、明石だとか、玉蔓などは横糸、いわばトッピングということになるのですが、

、、、、、、

運よく最後まで読みおおせたとして、そのときどう思うかはわかりませんが、

わたしは、六條はさきの三人と同じくらい、いやもっと深い通奏低音じゃないかと思うんです。

白い母と黒い母がいるとするなら、その後者。

なんたって、源氏は、六條院と名乗るのです。

継承者。

だから、その魂はどんなに時間がたってもよみがえってくる。

妻を殺したと知ってさえ、会いに行く相手なのです。

斎宮に近寄るなときつくいい置いたのも、

 いかで、さる方をもて離れて、見たてまつらん と思う給ふる

そういう娘を見たくない、だけでなく、娘をそういう状況でみたくない、六條はふたつの思いでいってるのではと思います。

さすがに、娘をとり殺したくないでしょうしね。

のまえに、その件で煩悶したくない、という断言だと思うんです。

源氏の下心なんて、とっくにお見通しでしょうから。

このあたりが、好悪を超えてしまうところなのですが、

彼女は徹底して感情を抑圧しようとするのに、なしえない。

情ないじゃないの、といいたいけど、でもそれは彼女の意思を超えている。

全身全霊をあげて思いを断ち切ろうとしている人間に、ふりあげる鞭なんてない。

(そういえば、藤壺もいちどだけ、出てきましたっけ)

テンペストつまりタイフーンのように垣をはらう存在。

それだけに、どうして先坊が廃されたのか、あるいはそのまえになくなったのか

詳しく知りたいところですが、そこらへんはホワイトページです。

散逸した巻なのか、人間関係にしばられぬためか、あるいは

あまり重きを置いてなかったから?かなぁ・・・・・・・

 

あ、みごとに脱線した。

というわけで、思い入れ濃き、玄色(くろ)の羽織

仕立ててくれるところを探さなくちゃ。

 

そうそう、クビクロは、サイボーグ009にでてくるワンちゃんです。

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コメント

コワイ羽織になりそーな…うそうそ。
寿光織りなんて、いいものゲットでしたね。
羽裏も品がよくていい色です。
ちとジミですが、長く着られますね。
紋も源氏香なんて、おっされーです。

最近源氏香柄にはまっておられる
ような気が・・・

源氏香の縫い紋おしゃれですねぇ。

そういう楽しみ方もあるんですね。

とんぼさま

ふ・・・磯のあわびの片思いですって。

だけど、こうやって自己満足いやさ自分ワールドでたのしめる、きものはふところが深いでござんす。

さて、紋の色はどうしましょう。

陽花さま

そうですね、2年ぐらいで急に増えました。

中学のころは、あきもせず 十二単すがたの挿絵を描いてました。
あのころ、たしかカラー版日本文学全集で、与謝野晶子の源氏物語が発刊されて、北海道の級友が、特別付録の絵葉書をくれた思い出があります。

源氏香はそのころは好きではなくって、どこがいいのかと思ってたくせに、ほんといい加減なもんです。
香は聞いたこともないし、マークの方も覚えていないんですが、だんだん親しみがわいてくるの、おかしいですね。

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