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2007年3月

瘧(おこり)

まっとうな、

と思えるものがひとつならば、迷うことはない。

おだやかにワードローブのひとつと迎えるはずだ。

なのに。

あやうげと、頭ではわかっているのに

あきらめ切れないものと出会うことがある。

計画は、おじゃん。

一生、着るかどうかもあやしくても

ほれた弱みか。

ああ、いったい、自分の裡の何が呼ぶの。

缺けていると、わかりつつなだめられぬ。

それは、きっと

己が似姿。

狂おしく朽ちてゆく 返り咲きの。

雨の日に

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「・・・静かだと思ったら、あそんでる!」 (背の君の非難)

「楽しみが、いっぱいあっていいねぇ」 (追い討ちで、皮肉)

久しぶりに、着付けのまねごとをしてみた。

ようやくやっと縫い上げた 袷のしつけをとる。

もともと単の練習用に買ったのだけど、

教えていただく機会があって、だいそれたことをしでかした。

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帯は、母の嫁入り仕度のなごやを譲り受け、仕立て直したもの。

帯揚げも帯締めも、三十年以上まえの買い置き。

うーん、後ろに手がまわらん。

ネコの手もかりたい、というところでうちのどらねこに気がついた。

「オタイコって何??」

状態の娘に、

「はまぐりのような形」

と、手伝わせているうちに、こちらもすこしずつ思い出す。

ところが・・・

ウサギ小屋のかなしさ、あちこち引っかかってお太鼓さえもじゃま。

(なんぞの厚みのせいかもしらん)

ええ、それならば

Img_2743

「こんどは、どえらくジミだね・・・」

娘の感想は、むべなれど

髪は振り分け。年季のいった姉さま人形の栞、の風情か。

あたりまえではないのを承知で、意外と落ち着く気もされる。

着てみて気がついたのは、

振りからのぞく 襦袢の地味なこと。

昔の振袖用なんだけど、

白地はなんともさみしくて。

そうとなれば、

これまた、買い置きの(十年以上冬眠)桃のいろ。

やっぱり、仕立てに出そうっと。

もう、・・・

絹物に手を出すのはやめたもん。

すずやすず・・・

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出会ってはいけないものに

出会ってはならぬとき

めぐり逢うことは ままあるもの。

とおりゃんせは いつも通れるものでなく。

手許に手繰り寄ってきた 帯留はあきれるほどに大きく 

そのはんぱでなさが ふと新たな幻想をいざなう。

定番どおりの白紐の心積もりが

いっそ 左右を染め分けた勁さをあててみたくなる。

ひとつは茜、いまひとつは・・・

(ほしいまま)にぞ 音は鳴りひびかん。

托されて

帯選びで、とんちんかんな質問を連発するわたしに

お友だちが手持ちの帯を見せてくださった。

「ひとくちに赤といっても」

畳紙をひろげると、錆朱、弁柄、茜、薔薇色・・・

とりどりの色の条(すじ)が流れる。

ひたすら 目移りしているわたしに

Tさんはひとつひとつ、説明をしてくださった。

相手が紬でも、こういう金糸ならあわせられること。

ぽつんとそっけないほどの 栗の実が

おしゃれのひめやかな一人舞台になること。

そしてこのあかの中で わたしに映る色のことなど。

説明を聞きながら、

わたしはそこにひろげられた帯たちが

ただの布地には見えなくなった。

語られたこと そして

語られなかったこと。

色と文様に托されてつたわってくる

母から娘への熱い想い。

せつなく、息がつまるほどの情が

わたしを圧倒する。

ああ、こういうものがあるのだ。

この国の衣装は こころまでも内包し得るのだ。

わたしは むすめに

残してやれるのかしら。

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