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2006年12月

ふぁたふぁた

Long_2

夫の母が若いころのきものを

はんてんに仕立て直してくれた。

義姉たちはみな "No thank you" だったので

着たのはわたし一人。

セルではなく、こなれた綸子のやさしさは

たとえようもなく

子育てのころの十年余り 愛用していた。

さすがに わたが切れ

現役は退き、衣装函の中で眠っている。

羽織というのは本来、女にとって気取らないものであったと思うのだが

記憶の中の母たち、学校行事に集うすがたはあたかも

ユニフォームであるかのように 黒の絵羽織が決まりであった。

帯姿のひけめ、娘のような柄行、そして寒暖の調節。

もろもろの気後れをカヴァーするオールマイティな存在として

いつしか 黒の羽織を着ない母親など考えられないほどに流行った。

冠婚葬祭がすべて一着の黒服で間に合わされる時代にも重なっていた。

いま思うと

それはやはり美しさとは ちょっとちがうものだった気がする。

パーマをかけた髪と、無頓着な黒い羽織の肩は

憧れるものとしては遠く

わたしは すっかり羽織嫌いになった。

だから というわけでもないが

まだ羽織はあつらえたことがない。

肺炎で退院するときに母が着せかけてくれた友禅のセル。

柄はすきなのだが、重くかさばって

何度も着ないうちに解いてしまった。

写真は 古着で手に入れた銘仙。

くすんだオレンジの地にわらびの飛んだ柄で、つい手を出した。

夜。

ふっと 寒気をおぼえて、パジャマにはおった。

はらりと 身に添う かさなり。

セーターとはちがう、火鉢のような あたたかさだった。

ふぁたふぁたと ふる袖には

おさなごころも つきまとってくるような。 

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